皆さんこんにちは。

今日も明日も明後日も、
見積作業に勤しむ自分。

今日も明日も明後日も、
カリカリごはんを食べるモク。

未来予測のできる私。

なんて素敵な能力を手にしたのでしょう。


後は、
飲んだ後の電車で降りる駅を予測できれば完璧です。


さて、

完璧と言えば、
ドイツでは2008年から「エネルギー・パス制度」が始動しています。

さすがはドイツ。

彼らは、
ワールドカップで優勝しただけでなく、
住宅分野でも横綱相撲をとり続けております。

ドイツがいかに先を走っているか、
その度合いを例えるなら、

日本でやっとカラーテレビが出回りはじめた時代に、
ドイツはハイビジョンを義務化した。

それくらい、インパクトがあるかも知れません。


彼らドイツ人は、

目標を定めてそこに到達するために、
業界のしがらみを抜きにして厳格な基準を策定し、
突っ走る術を心得ているように思えます。

また彼らは、

未来のあるべき姿の妄想力に長けており、
その妄想を実現するために、
明日からすぐ目標に向かう勤勉ささえも
備えているように見えます。

ドイツが義務化した
「エネルギーパス」
というのは、
住宅の1年間エネルギー消費量が
ひとめでわかる共通基準です。

何でも、
ドイツの燃費計算式に照らし合わせますと、
2008年のドイツのレンガ造の住宅の
1年のエネルギー消費量を1977年のものと比較すると、
15分の1に削減されていたそうです。

そこには、
住宅の建材単体ごとの優劣などのごまかしはありません。

しかもドイツは、
共同住宅のオーナーでさえ、
物件を賃貸したり売却したりする際に
このエネルギー・パスの提示を義務付けたのでした。
まるで融通の効かない空港税関のような徹底ぶりです。

日本なら建物性能は二の次で
利回りを考えないと共同住宅の収支計画が成り立たないことが
ほぼ100%の現実のところです。
(金融機関は建物の性能に対して、商業建物にも
金利の優遇をもっとしていかないといけません。)


3歩も4歩も先を行ったこの制度、
日本は、逆立ちしても今は追いつけません。
いやむしろ、逆立ちしたら差が開いちゃいます。

こんなすごい制度を
法律で義務付けた恐るべしドイツ。

日本も真面目に見習わなければいけない流れです。

そんなドイツの思想を
日本でも一生懸命普及させているのは、
パッシブハウスジャパンという組織です。

パッシブハウスジャパンのHPの解説では、

 「パッシブハウスとは、1991年にドイツのパッシブハウス研究所によって確立された
 省エネ住宅のスタンダードです。各国の法規によって定められたスタンダードよりも
 はるかに上を行くこのシビアな省エネ基準は、その経済性が実証されるとドイツ、
 オーストリアで大きく普及し、近年ではEUとは気候の異なるアメリカや韓国でもパッシブ
 ハウスの建設が試みられております。」

とあります。

また、

 「パッシブハウスの条件は、
 床平米あたりの一次エネルギー消費量および冷暖房負荷、
 そして気密性能の基準を満たすこと」

とあり、そうした基準も含め
パッシブハウスという概念について
啓蒙に努めています。

そんな、パッシブハウスジャパン。

一見して穏健派、
非暴力不服従のマハトマ・ガンジーのようでありますが、
その実、
ボクシンググローブの中に鉛を入れてパンチするような
したたかさも秘めているのが興味深いところ。

それは、

  

「住宅の省エネ×健康マップ」

と称するコーナーがあります。

主に大手メーカーさんや有名工務店さんの
住宅性能を試算してその結果を相関グラフにして公表しております。
これはかなり貴重な資料なのであります。

省エネ×健康マップ
                      詳しくご興味ある方はこちら→「省エネ×健康マップ」


「エコ」、「省エネ」。

こうした言葉が、
映画館のポップコーンの粒のごとく存在する建築業界。


パッシブハウスジャパンは

「なるほどなるほど。それじゃあ実際に私たちが、
建築物理に沿って、皆さんの標準仕様がどれくらいエコか、
実際に計算して差し上げましょう。」

という正直さを持って大手ビルダーに張り手をしているのであります。

あたかも、
マジシャンのマジックBOXを透明にして、

「さあマジシャンの皆さん、
思う存分、手品の腕を発揮してください!」
と、高らかに宣言したような清々しさ。


しかしながら、
それを対岸の喧嘩のように、
はやし立てるでもなく隠すでもなく、

いづれ日本でも、
1棟1棟がこのように、明確な基準によって
競い合うようになればよいのです。

競争する側は大変ですが、
住む方にとっては安心です。

日本の4倍ともいわれる高いドイツ基準。

私たち工房も、
まだまだそこには及びません。

RCなら外断熱、
木造なら気密処理や調湿気密の考え方など
現場に応用実践しております。
品質も考えれば、急に劇的に変化を遂げることは難しいものですので、
デザインとコストとのバランスも考えながら
着実に住宅性能はUPさせていきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。
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