皆さんこんにちは。
すっかり朝晩は肌寒くなってまいりました。
真冬は薄着なのに、断熱材は厚くするヨシコシです。
もうじき、
毛むくじゃらの生き物が羨ましいシーズンですね。

マンチカン夏はうんと暑いわよ

本日は断熱材のお話の前編です。

平成26年9月22日、
経済産業省より「建築物の断熱材に関するJISを改定」の通知が出ました。

これは、
住宅の省エネ化に向けて、
「今後は統一した規格に基づいて性能を表記しなさい」という通達で、
大変よいことだと思います。

住宅産業が提供してきた省エネ風住宅も、
今後は徐々に省エネ住宅へ変わっていく流れにあります。


今回の経産省の断熱材のJIS改定には、
大まかに3つのポイントがあります。

①断熱材の「種類の追加」する。
②断熱材の熱性能は、「熱抵抗値」でなく「熱伝導率」で規定する。
③断熱材の性能測定の測定温度は「23度」に統一する。

の3点です。
経産省の産業技術環境局に問合せをいたしましたが、
今後のカタログ修正対応などは、メーカー各社に任せるそうで、
いつまでに変更しないといけないなどということはないそうです。


要は、経産省から建材業界へ
「あなたたちはバラバラの測定規格や表記内容ですので今後は断熱材の表記を統一しなさい」
というお達しです。

①の「種類の追加」というのは、
従来は、
グラスウールとロックウール(人造鉱物繊維系)
だけに定められていた
JIS A9521の規格

人造鉱物繊維断熱材 グラスウール

今回の改正から、別のJIS規格だったA9511の
スタイロフォームやネオマフォームなどの
発砲プラスチック系の断熱材もA9521に統合させ、
発砲プラスチック断熱材

さらに新たに、
インシュレーションボード断熱材や
写真のセルロースファイバーなどの木質系の
有機繊維断熱材もJIS A9521に加わります。
セルロースファイバー


要は統一規格の種類が増えたわけですね。

②に関しましては、
「熱抵抗値」と「熱伝導率」が
耳慣れない言葉かと思いますので、

まずは「熱伝導率」というものを分かりやすく説明いたします。

熱伝導率とは、<熱の伝えやすさ>を表した値です。


伝導する熱の値が大きいほど熱はよく移動します。

断熱材で、熱の移動する値が大きいとは?

そう、

熱伝導率の数値が大きい = 断熱材の性能が悪い

とお考えいただいて結構です。

熱伝導率の単位は、W/(m・K)となりますが、
一般の方は覚えなくてよいと思います。
 


熱の伝導率の分かりやすい例があります。
「木の板、ガラス、鉄」を
丸1日、3度の冷蔵庫に入れます。

翌日。3つの物質は、冷蔵庫の中で冷やされて
それぞれ3度になっていました。

今度は、冷蔵庫から取り出し、それぞれを
手で触ってみました。

さて、一番冷たく感じるのはどれでしょう?

はい、正解。答えは「鉄」です。

ここで、
3つの物質の熱伝導率の数値を見てみますと、
鉄が「 83.5」と断トツで大きく、ガラスと木材は共に「1以下」です。

 

3つの物質の温度は同じになったはず。
なのに、鉄が一番冷たく感じます。

これは、
鉄が、ガラスや木の80倍以上の熱伝導が起こるため、

手の熱がすぐに鉄に移動し、
手の熱を奪われた人間は、鉄をとても冷たく感じるというわけです。

この、「熱の移動のしやすさ」が熱伝導率です。

次に、ガラスが冷たく感じます。
木材とガラスの熱伝導率はさして変わらないはずなのに
どうしてでしょう?

これは、
両者が同じような熱伝導率の数値でも、
表面の滑らかさの関係で、
人間の掌の熱を受ける面積はガラスの方が広い。
よって、熱が移動する量もガラスの方が多くなり、
ガラスの方をより冷たく感じるわけです。 


熱の伝導率の計測にあたっては、
計測時の断熱材の裏表の温度差は1度と定められていました。
極端に言いますと、
これまでは23度で計測するメーカーもあれば、
20度以下で熱伝導率を計測するメーカーもあったようで、
今回の改定で、計測時の室内温度が「23度」に規定されました。

計測温度も統一されることで、
これまで以上に性能の数値が客観性をもつわけですね。
この計測温度の統一が、JIS改正の3つめのポイントです。

熱の抵抗値などのお話は次回に。
お読みいただきありがとうございました。
 
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