皆さんこんにちは。
ゲリラ豪雨、猛暑、極寒、雪害、結露、泥棒、
地震、カミナリ、火事、オヤジ・・・。
家の維持につきまとうさまざまなリスクに立ち向かうヨシコシです。
木造の家でしたらシロアリもそうです。

今日は、シロアリについて変わった話をひとつ。

先日、工房の事業部会議でシロアリについての勉強会を開きました。
日本で最古のシロアリ防除会社の支店長さんを講師にお招きし、
実におもしろいお話を拝聴いたしましたので、みなさまにもうんちくをお裾分けいたします。

そのシロアリ防除会社の創業者は、
明治32年(1899年)、今から115年前に
鹿児島県でシロアリ防除の研究を始めたそうです。


当時の日本は、シロアリを駆除する方法はまだなかったそうです。
木造の橋や鉄道の枕木が、「白い虫」によって崩壊してしまう現象を、
公共インフラ維持のためにも、なんとかくい止めたいと創業者は思い立ち、
シロアリ駆除研究を始めたそうです。


その後、創業者の弟さんが、
当時、日本よりもシロアリ防除の研究が進んでいたという
台湾へ渡って研究に専念。

台湾で、大島正満博士、オーストラリアのシロアリ権威のウィリアムとボーラーに師事し、
薬学的な施工技術を身につけて日本に帰っていたそうです。

これが日本のシロアリ防除技術の最初期のお話。 


その後、その会社は日本全国を渡り歩き、
名古屋城、和歌山城、松山城、鶴が岡八幡宮を始め、
神社仏閣、重要文化財のシロアリ防除にいそしみます。

当時の後援者には、高橋是清(
20代内閣総理大臣)、
徳川家、島津家など、そうたる方々が並んでいたのだそうです。
当時は会社の技術者というより、鉄道インフラの維持や歴史的建造物保護の権威者という位置づけでした。
今となっては当たり前のことですが、当時はそれだけ社会的使命として期待されていた
最新技術だったわけです。

ちなみにその日本最古のシロアリ防除会社は
アイジーコンサルティングという会社です。

さて、そのシロアリ。


日本人にとっては家の天敵ですから特に大嫌い。

シロアリ好きな人を探すのは、
砂漠で激辛カレーを食べている人を探すのと同じくらい難しいことです。

でも、実はシロアリは人間以外にとってはとても大切な存在のようです。
自然のサイクルの中でシロアリは生物学上「益虫」に分類されます。

「益虫(えきちゅう)」というのは、
例えば、森の中で枯れた木を土に戻す触媒となる生き物。

自然のサイクルの中で、なくてはならない存在です。

木の家に住む人間にとってのみ
シロアリは「害虫」の扱いとなります。

よって、
シロアリの防除というのは、
木造の家の構造材を食べないようにする処理をするのであって、
自然界からシロアリを抹殺してはいけないわけですね。

5年で薬効がなくなるくらいの強さに限定して駆除防除の薬が作られてるのは
そんな生物学的な自然サイクルの背景にもよります。

なるほど、
また一つよいことを知りました。

人間が自然界で快適であるために、
自然という大きな屋根の下では、
シロアリと、我々はつかず離れずお付き合いしていく必要があるというわけです。

因みに、

家の近所で羽蟻を見つけたら、
シロアリかクロアリかを見分ける簡単な方法があります。
シロアリ 羽蟻 クロアリ 羽蟻 違い
シロアリの羽根は、4枚とも同じくらいの大きさです。
黒アリの羽根は、大きいの羽根の下に小さい羽根があります。

絵で見ると羽根が開いていますが、
実際にはこんな感じで羽根が重なって見えることが多いです。
シロアリ 羽蟻
なんだか、正月の羽子板の羽根のようですね。



お読みいただきありがとうございました。
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